路面電車

路面電車の歴史やシステム、世界格好の路面電車について。

路面電車関連用語

・軌道運送高度化事業

日本の地域公共交通の活性化及び再生法の中で、超低床電車の導入およびLRTへの改良または新設を想定した整備事業の呼び名。

 

・センターリザベーション

リザベーションとは、併用軌道の種別で、一般自動車が通常時軌道内に進入できない様、道路と軌道敷の境界部を視覚的、物理的に区切って線路を敷設した準専用軌道を指し、センターリザベーションはそれが道路の中央に敷設されている場合の呼称。軌道のみならずそれに乗り降りする駅施設(停留所)も道路の中央にあるため、利用時に道路の横断を免れないという欠点を持つが、日本の路面電車の大半が道路中央に軌道があって敷内進入禁止となっているのでこの形式である。一般車両は通行できないが、災害や事故など緊急車両は走行可能であることが専用軌道との決定的な違いである。

 

・サイドリザベーション

サイドリザベーションは準専用軌道を道路の端に寄せて敷設し、歩道から直接軌道交通に乗降可能となるようしている場合の呼称。歩行者に絶対的な安全を保障する敷設法として欧米ではかなりポピュラーな敷設方式であるが[要出典]、反面、路側に停車したい車両が制限を受けるためタクシーや貨物車両の多い繁華街では敬遠されがちである。日本では普及していなかったが近年徐々に需要が認められて採用される例が増えている。軌道が複線の場合、上下線をまとめて道路の片側に寄せるシングルサイドリザベーション(熊本・鹿児島の駅前等)と、上下線を道路の左右に振り分けて敷設するダブル(デュアル)サイドリザベーションの二種類がある。

 

・センターポール

センターリザベーションの路線において、上下線の軌道間に架線柱を立てる方式。道路脇の電柱や建物から架線を吊る方式(サイドポール(側柱)方式)に比べ景観が良くなる。鉄道線で採用の事例もある。かつて電柱が多くなかった時代は、その必要性から一般的だったが、道路脇の電柱が増えるに従いセンターポールはみられなくなっていた。しかし景観を重視したまちづくりが全国的に広がりを見せるにつれ、主要街路の電線・電柱とともに架線を吊るすワイヤー等の構造物が道路上空に張り巡らされていることが嫌われるようになり、すっきりした都市空間をとりもどす目的に合致したセンターポールの採用が徐々に増えている。日本国内では、鹿児島市電および岡山電気軌道において、センターリザベーション区間の大部分がセンターポール化されている。

 

・サイドポール

サイドポールは日本の既存路面電車の大多数が採用してきた架線柱設置方式。主に道路両側の路側または歩車道境界線付近に架線柱を立てるかまたは建造物を利用し、街路を横断するワイヤーや鉄骨等による跨道構造物を設置、そこから軌道上空に架線を懸下する場合が大半である。ほかに、センターリザベーションの場合に軌道と道路の境界に架線柱を立てる方式もある。また、単線区間のシングルポールは全てサイドポールに含まれる。空中のワイヤーや構造物、また路側の柱状構造物の数が増えるため、街路の景観を圧迫する要因とみなされることが多く、時として路面電車の主たる欠点の一つとして導入や存続を否定する主因とされることもある。

 

・たわみ構造軌道

路面が、交通荷重によるせん断力には抵抗するが、曲げ力には抵抗せずたわむ構造を指し、併用軌道の場合は砕石道床を有するもの(表面が板石舗装かアスファルト舗装かは問わない)が該当する[15]。砕石道床には一般の鉄道と同様に枕木を介してレールが敷設される。併用軌道において古くから採用されてきた構造。軌道敷内の自動車通行が増加すると荷重による軌道狂いなどの破壊が早く進行し、保線作業回数を増やして対応することが必要となる。

 

・剛質構造軌道

路面が、交通荷重による曲げ力に対して強い抵抗力を有する構造を指し、併用軌道の場合は砕石道床がなく強固なコンクリート道床を有するものが該当する[15]。併用軌道上の自動車通行による軌道破壊の増加に対応して開発されたもので、路盤上に砕石道床は構築せずコンクリート舗装板を直接敷設し、レールは舗装板上に直接又はコンクリート枕木を介して二重弾性締結により取り付けられる[15]。その上にアスファルトなどによる舗装が施される。レール上の車両荷重はコンクリート舗装板により安定して分散されるため、レール自体の重軌条化の必要はない[15]。この構造の採用後も、自動車の重量増などにより軌道破壊が進行する例も生じ、剛質構造の中でもさらに連接ブロック構造などの改良が進められた。

 

パッセンジャーフロー

車両の扉を乗車専用と降車専用に分け、乗客がその間を移動する途中で運賃を支払う方式。最盛期の札幌市電では、2両編成の後部車両から乗車、運賃を支払ったあと前部車両から降りるようになっていた。

 

・地表集電方式

"APS (Alimentation par le Sol) "の名称でアルストム社の子会社が開発した集電システムで、短いセグメントに区切った第三軌条を敷設し、電車が通過中のセグメントにだけ電気を通す方式。架線が不要なことから障害が少なくなる上に見栄えが良いという利点があり、フランスのボルドーで実用化された。

 

・地中溝集電方式

コンデュイット (conduit) 方式とも。線路の間に給電線を埋設し、車体下部から伸びた集電靴で集電を行う。ロンドンやニューヨークなど各地で用いられたが、1963年のワシントンD.C.を最後に姿を消した。

 

・高速電車

路面電車に対し、路面電車ではない通常の電車(鉄道)を区別する際に使われる言葉。

 

都市高速鉄道

街路交差点での交通信号で停止せざるを得ない「路面電車」に対して、交通信号で停止しないように計画・設計された鉄道をいう。英語のrapid transitの訳語であり、「都市施設」のひとつとして都市計画法第11条第1項に規定されている。

 

参照:Wikipedia路面電車

 

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日本の路面電車

日本においては、路面電車軌道法の管轄下にあり、鉄道事業法に基づく一般の鉄道とは明確に区別されている。なお、同じく日本の道路交通法では、「レールにより運転する車」と定義している。また都市計画法に定める都市施設においても、路面電車都市計画道路のうちの「特殊街路」に分類される。

経営形態としては、地方自治体による地方公営企業(交通局)、一般の私鉄と同じ純民間企業、第三セクター鉄道によるものがある。市が運営する「市電」が多数を占めるため、運営形態によらず路面電車は「市電」と呼ばれることが多い。

歴史的には1895年(明治28年)に京都市で開通した京都電気鉄道(後、京都市電)をはじめに、大正から昭和初期にかけて大都市圏を中心に数多くの軌道が整備された。その中には、京王線阪神本線などのように、都市間高速軌道(インターアーバン)として建設され、現在の高速鉄道路線の前身となったものもある。

最盛期の1932年(昭和7年)には65都市82事業者、総路線長1479kmとなり、戦前から戦後には、都市の重要な交通手段として機能していた。しかし、1960年代の高度成長時代にモータリゼーションが進む中で、路面電車は渋滞の元凶だとされ、1970年代末にかけて各地で廃止された。「できるだけ路面電車はなくしていきたい。しまいには皆無にいたしたい」とする当時の大臣の答弁も残っている。自動車技術の発展によりバスが大型化され、路面電車の定員と遜色がなくなったこと、ディーゼルエンジンの進歩や車両の信頼性向上により運行コストがさらに低くなっていったことも路面電車廃止の要因であるといえよう。一部の大都市(政令指定都市)では地下鉄に取って替わられ、また、大都市を含む多くの都市ではバスが代替となった。2011年(平成23年)現在日本で路面電車が走っているところは20箇所以下と少なく、東北地方では皆無となっている。それでも隣国の大韓民国においては全廃(1968年)、中華人民共和国においては長春・大連(この2都市は満州国時代に建設)・香港(鞍山は廃止、武漢は高架電車)の3都市にしかないことからすれば、アジア諸国の中ではかなり多い方である。

一方で、20世紀末以降、環境負荷の軽減、バリアフリー及び交通渋滞緩和の観点から世界各地で路線の復活および好評を博している事実に触発され、日本でも再評価の動きが高まった。1982年(昭和57年)、豊橋鉄道東田本線・井原 - 運動公園前間が新規開業し、1998年(平成10年)には豊橋駅前停留所移設で路線延長が行われた。2006年(平成18年)には新幹線工事に伴う富山駅高架化工事に伴い、JR西日本富山港線を市内の基幹交通機関として再整備した富山ライトレールが開業した。また、2009年(平成21年)には富山市内線丸ノ内駅から大手モールを経由して西町駅へ向かう単線区間940mが延伸開業し、路面電車復権を象徴する出来事として注目を集めた[12]。また、松山市ではJR松山駅の高架化工事に付帯する周辺市街地の再開発事業の一環として、現在路面電車が敷設されている駅東側から高架下を通り駅西側へと700m延伸する計画があるなど、大規模な再開発事業に合わせて軌道の新設や延伸を計画している自治体もある。他にも岡山市広島市などで、廃止路線復活や、新規路線の建設といった計画があるが、橋の改修や道路幅の不足によって実現していない。

ちなみに、省エネルギー効果の高いVVVF制御は、現在の日本の電気鉄道で電車の制御方式として広く採用されているが、国内で初めて実用化したものは熊本市交通局路面電車である。現在では路面電車も最新の車両技術(機構・デザイン)を採用する例が見られる。

なお、1960年代の札幌市電では非電化区間も存在していたため、路面気動車もごく少数ながら製作されていた。

 

参照:Wikipedia路面電車

各国の近代型路面電車

◯ヨーロッパ

・フランス

 ・パリ:1992年に新規開業(T1路線)。車両はTFS-2型。

 ・ルーアン:1994年に新規開業。車両はTFS-2型。

 ・ストラスブール(ストラスブールのトラム):1994年に新規開業した。当初は小型のゴムタイヤ式地下鉄(VAL)を導入する計画だったが、取り止めた。

 ・ボルドー:2003年に新規開業。車両はシタディスを基とし、地表集電方式(イノレール式)の導入区間の走行にも対応。

 ・ニース:2007年に新規開業。車両はシタディスを基とし、バッテリーによる無集電区間の走行にも対応。

 ・トゥールーズ:2010年に新規開業。車両はシタディス。

・イギリス

 ・ロンドン郊外:クロイドンとウィンブルドンを結ぶ Croydon Tramlink がある。

 ・シェフィールド:シェフィールド・スーパートラム - バス会社との競合による躓きなどから失敗例と言われることがある。

 ・ノッティンガム:Nottingham Express Transitがある。

アイルランド

 ・ダブリン:アイルランド語で「Speed」を意味するルアス (Luas) という路面電車が2004年に開通した。一部の区間はかつて存在していた鉄道の廃線跡を利用して建設された専用軌道である。

 

◯日本(次世代型路面電車 / LRT)

超低床車両については日本各地で導入されており、今後も多くの導入計画がある。

熊本市交通局

1997年に一部導入された9700形電車が日本で始めての次世代型路面電車とされる。

鹿児島市交通局

2002年に一部導入された1000形電車は日本初の純国産超低床電車である。

富山ライトレール

JR西日本富山港線路面電車化[10]し第三セクターが経営を引き継いだ。2006年4月29日開業(富山ライトレールとして開業時に一部区間が経路変更となった)。開業にあたり車両を全て次世代型路面電車に入れ替え、富山市の都市計画にも組み込まれるなどしていることから、日本における次世代型路面電車第一号とみなす考えもある。使用されている車両は2車体連節低床式路面電車で、愛称は「ポートラム」。

阪堺電気軌道

2013年8月に一部導入した、日本で最も新しい次世代型路面電車。1001形電車、愛称「堺トラム」。

 

参照:Wikipedia路面電車